河童の森の、うらばなし

2011.1.16

文:前田優子(いわきアリオス コミュニティサービスチーフ)
イラスト:渡辺 亮 写真:鈴木穣蔵(※)、村井佳史(*)

昨年11月から数回にわたって続けてきました「森と海と川と河童のためのパーカッション・シンフォニー」コラム、今回で最終回となります。

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わたしが渡辺亮さんと初めて出会ったのは、いまから15年くらい前。佐渡で行われている国際芸術祭「アース・セレブレーション」でのサンバ・ワークショップがきっかけです。

もともとブラジル音楽やパーカッションが好きな大人たちだけじゃなく、島の小学生たちも参加し、かなり複雑なアンサンブルをあっという間に覚えて演奏しているのにすごく驚きました。しかもその子たちは次の年の夏もまた次の年の夏も、リピーターとして参加し続けているのです。亮さん、どんな魔法かけてるんだろう!? って思っていました。

また亮さんのライブパフォーマンスもとても魅力的でした。中南米の打楽器を中心にした個性的なセットを駆使したサウンドはまさに「色彩的」。白いキャンバスのうえに一色ひと色筆を重ねていくかのような… 亮さんが美大出身のアーティストであることをあとで知り、「そういうことか〜!」と納得。

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そして亮さん、パートナーののりさんは、チャーミングでやさしい心の持ち主。

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その後もライブやワークショップなど、さまざまな場で出会いましたが、いつもあったかく包み込むようなエネルギーに満ちていました。

■前代未聞!の「パーカッション×アート」の複合ワークショップが出現するまで

そんな亮さんに、いわきで3ヵ年計画でワークショップをお願いすることになり、1年近い時間をかけて、じっくりゆっくり打ち合わせと準備を重ねていきました。

美術と音楽、両方を3日間で体験するワークショップ。私たちスタッフにとっても亮さんにとっても初めての試みです。実際にいわきにお越しいただき、あちこち探検しながら、軸となるテーマをさがしました。妖怪大好きな亮さん、磐崎の河童伝説をいち早く発見!

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…そして出てきたタイトルが「森と海と川と河童のためのパーカッション・シンフォニー」。4つの楽章からなるパーカッションだけのアンサンブル曲と、舞台美術を子供から大人まで一緒になってつくりあげていく、大きな作品づくりのワークショップです。

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内容の作り込みをしているなかで「スピリットを共有できる仲間をつくりたい」という言葉が亮さんから何度もでてきました。いわゆる講座的なワークショップとしてだけではなく、もう一歩先の「想い」までを分け合っていきたい、ということです。

そしてもう一つのキーワードは「共生」。自然も、人間も、そして目には見えぬ魑魅魍魎も、すべてのいのちがひとつの世界を織りなしている…そんなイメージをうちに秘めて、ワークショップは始まりました。

■ことばはなくとも伝わる「想い」

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ワークショップには、6歳から72歳まで、幅広い年代の人が集まってくれました。知的障がいや発達障がいのあるこどもたちや、こころの病気をかかえている大人の方も参加してくれました。

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最初のワークショップが始まる前、いくつかのきっかけがあり、そうした子どもたちをどう受け入れていくか、という話をしました。亮さんは「障がいのある子もそうでない子も、みんな同じ、大切な子どもたちなんだよ」といいました。のりさんは「うまく表現できなくても、みんなでいっしょに演奏したい!つくりたい!という意志があってここにきているんだったら、それを受けとめよう、そのためにみんなでサポートしよう」と話してくれました。

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その気持ちは、とくべつ言葉に出していうわけじゃないのに、参加者へ自然に伝播していきました。大きな子が小さな子に自然に手助けしたり、子どもが大人を応援したり、大人たちは自分の子だけでなく全体を見てサポートしてくれたり…それらはそのまま、みんなで描き出す色彩や音の中に、ちゃんととけ込んでいたとおもいます。

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■ボランティアスタッフの輪

サポートしてくれるボランティアスタッフにも恵まれました。

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1年目、インターンとして参加した「まこちゃん」(写真右)は、大学を卒業し就職したあともずっと参加してくれました。子ども達ひとりひとりの様子をいちばん細かく見守ってくれていたのはまこちゃんでした。そしてまこちゃんの親友でパーカッション経験者の「わっちゃべ」(同左)も、いつしかなくてはならない大事なスタッフに仲間入りしてくれていました。

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2年目の「勿来編」でサポートしてくださった勿来ひとまち未来会議の安齋さんは小学校の教諭。子どもたちへの対応で悩むとき、支えになってくれました。

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3年目に東京から参加してくれた亮さんの秘蔵っ子・さゆちゃんは、複雑なリズムに四苦八苦している参加者に、シンプルなアプローチをその場で考えてあげるなど、機転の利いた対応で助けてくれました。

そして、毎年参加してくれている参加者の大人の皆さんも、楽器運びから子ども達のケアまで、楽しみながら積極的にお手伝いしてくださいました。

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そしてそうした動きを受け止め、取り込んでいってくれた亮さん、のりさん、そしてミキさんに、本当に感謝しています。

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■そして次のステージへ……

最初に思い描いた「イメージ」は、スピリットとなってそれぞれの中に息づき、動きはじめました。昨年の10月の大集合ライブでいったんワークショップは終了しましたが、こうしてつながってきた絆を、事業の終了と同時にかき消してしまうことにならないよう、改めて新しいスタートを切りたいと考えています。

最後になりましたが、ワークショップの実施に際してこの3年間にお世話になりましたみなさま、そして…信じられないほどでっかいスケールの想像力と集中力、そして繊細な心をもって、全力で楽しんでくれた子ども達へ… 

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ありがとうございました! 
そして、これからもよろしくお願いします!

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