【いわき演劇祭2016】観劇レポート(7)いわきおやこ劇場

2017.1.5

演劇を通じて人と人が、地域と地域が、そして人と地域が繋がることを目指す、いわきアリオスの「リージョナル・シアター」。今年度は、いわき演劇の会と共に「いわき演劇祭2016」を開催しました。

今回の演劇祭は8月27日(土)〜11月27日(日)の3ヵ月をかけて開催し、9団体による8公演と、2つの関連公演をお楽しみいただきました。11月3日(木・祝)にはいわきアリオス 中劇場にて、いわきおやこ劇場「アラビアンナイト〜魔法のランプと明日のヒカリ〜」(公演:人形劇団むすび座)が開催されました。

演劇祭に参加した各団体は、それぞれの稽古や活動がある中、お互いの公演に足を運び、観劇やお手伝いをして交流を深めてきました。この観劇レポートでは、演劇祭に参加している団体同士が、それぞれの公演についてレポートを書いています。公演を見逃してしまった方も、このレポートを通じて、演劇祭をお楽しみいただけると嬉しいです。

今回の執筆者は、「いわき芸能倶楽部」の小澤 洋さんと、「特定非営利活動法人Wunder ground(ワンダーグラウンド)」の小林 基さんです。

【事業データ】
リージョナル・シアター2016 いわき演劇祭2016
いわきおやこ劇場「アラビアンナイト〜魔法のランプと明日のヒカリ〜」
〔日時〕2016年11月3日(木・祝)14:00
〔会場〕いわきアリオス 中劇場
〔公演〕人形劇団むすび座
〔撮影〕白土亮次




●客席の頭上を「魔神」が飛ぶ
文:小澤 洋(いわき芸能倶楽部)

多くの人が知っているだろう「アラジンと魔法のランプ」の物語だ。いわきおやこ劇場の企画だったので、会員と会員以外は別々に並び、中劇場の開場を待っていた。幼稚園児や小学校低学年の子どもに保護者、中学・高校生らしき姿も見受けられた。中劇場の扉が開くと、いわきおやこ劇場の会員であろう、ちびっこたちもチラシ配りを手伝っていた。素晴らしい教育だと思う。ホワイエのスペースを活用し、「くじびき」や「古着ショップ」も開店、いかにも手作り感のある企画。会場には幼児の姿も多かったが、多くは優れた舞台芸術に触れてきた子どもたちなのだろう、無駄な出歩きや騒ぐ様子はなく、静かに開演を待つ姿に感心した。



舞台は宮殿の外のようだが、中のように見ることもできる。主人公の少年アミンと、優しく美しい母親ナシーム。親子は貧しかったので、「いつかお金持ちになって、母さんを幸せにしてあげるんだ」といつも思っていたアミンは、あるとき魔法のランプと不思議な腕輪を手に入れる。しかし、ランプの魔神の力で大金持ちになったアミンは、いつしか「僕は世界一だ」と思うようになり、わがままで思いやりのない人間になってしまい、王様の怒りを買ってしまう。



ついにランプも家も財宝も、最愛の母親さえ奪われてしまったアミンは、「一番大切なものは心だ」と気づく。力強く歩みだしたアミンは、見事に母親を救いだしたのだった。途中、大きな魔神が客席の頭上を飛ぶ場面では、観客が驚きながらも必死に魔神の姿を追う姿が、印象的だった。感動を胸に、いわきおやこ劇場の子どもたちによる出演者へのプレゼント贈呈をもって、幕を閉じた。



●子どもたちに観せることができる幸せ
文:小林 基(特定非営利活動法人Wunder ground)

自分の子どもを2人引き連れて、「アラビアンナイト」を観て参りました。2人とも上演中は微動だにせず見入っていたのが気になりましたが、終演後には他のちびっこたちと一緒に、中劇場のホワイエで人形に勢いよく群がっていったので安心しました。やはり面白かったのだね。(帰りの車内もそればっかりだったし)
人形の動きが美しかったり、ダイナミックだったりというのはもちろんのこと、背後でそれを動かす役者さんの動きも流れるように優雅で場面に溶け込んでおり、大掛かりな舞台装置と一緒に物語に華を添えておりました。



これからどこか他の場所で、この作品をご覧になられる方もおられるでしょうから、ネタバレ防止のために多くは語れませんが、物語の後半、ものすごく綺麗なセリフが2つありまして、もうこのセリフを聴くためにここ(劇場)に来たんだな、と思えるくらいに、それは素晴らしい場面でした。ひとつは主人公が、もう1つはある登場人物が主人公に向けて言ったセリフです。



うちの子どもたちは小さいので、今はまだ(とても楽しい、見応えのある)勧善懲悪の物語としか思っていないかもしれませんが、大きくなって、ふと、この舞台を思い出したとき(あるいは幸運な偶然で再演を目にしたときに!)、物語に丁寧に込められた「ほんとうのしあわせとは」という問いかけを考えてくれたらなぁ、と思います。
元気よく、しかも情感たっぷりに演じてくださった役者の皆さま、その演技をより際立たせてくださった裏方のスタッフの皆さま、本当にありがとうございました。子どもにこういう舞台を観させてあげられるというのは、本当に幸せなことだと思います。よい機会をありがとうございました。




今後も引き続き、「いわき演劇祭2016」の観劇レポートをお届けしていきます。次回は11月23日(水・祝)に開催した、即興パフォーマンス集団6-dim+(ロクディム)『即興で「芝居×コメディ」をつくる! 即興パフォーマンス「この瞬間を一緒に笑おう」』です。お楽しみに!

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