【いわき演劇祭2016】観劇レポート(8)即興パフォーマンス集団6-dim+(ロクディム)

2017.2.22

演劇を通じて人と人が、地域と地域が、そして人と地域が繋がることを目指す、いわきアリオスの「リージョナル・シアター」。今年度は、いわき演劇の会と共に「いわき演劇祭2016」を開催しました。

今回の演劇祭は8月27日(土)〜11月27日(日)の3ヵ月をかけて開催し、9団体による8公演と、2つの関連公演をお楽しみいただきました。11月23日(水・祝)にはいわきアリオス 中リハーサル室にて、即興パフォーマンス集団6-dim+(ロクディム)の『即興で「芝居×コメディ」をつくる! 即興パフォーマンス「この瞬間を一緒に笑おう」』を開催しました。

演劇祭に参加した各団体は、それぞれの稽古や活動がある中、お互いの公演に足を運び、観劇やお手伝いをして交流を深めてきました。この観劇レポートでは、演劇祭に参加している団体同士が、それぞれの公演についてレポートを書いています。公演を見逃してしまった方も、このレポートを通じて、演劇祭をお楽しみいただけると嬉しいです。

今回の執筆者は、「演劇集団黒ヒゲキャラバン」の阿部嘉明さんと、いわきアリオス企画制作課のハギハラヒロキです。

【事業データ】
リージョナル・シアター2016 いわき演劇祭2016
即興パフォーマンス集団6-dim+(ロクディム)
『即興で「芝居×コメディ」をつくる! 即興パフォーマンス「この瞬間を一緒に笑おう」』
〔日時〕2016年11月23日(水・祝)
  ①おやこあそび「じゆうにひょうげんして、ものがたりをつくろう!」10:00〜11:00
  ②即興芝居ワークショップ13:30〜15:30
  ③ロクディムの公演16:30〜18:00
〔会場〕いわきアリオス 中リハーサル室
〔撮影〕白土亮次




●言葉の鮮度
文:阿部嘉明(演劇集団黒ヒゲキャラバン)

皆さま、「インプロ」という言葉はご存知でしょうか? 僕も詳しくはわかりませんが、「即興劇」と考えていれば、概ね間違ってないようです。詳しくは「インプロとは」と検索すると、より詳しく出てきます……便利な時代ですね。
さて、即興パフォーマンス集団6-dim+(ロクディム)さんは、この「インプロ」のプロ集団です。今回のイベントは3部構成で行われました。1つめは0歳から未就学児まで子どもとその保護者を対象とした「おやこあそび」。2つめは中学生以上を対象としたワークショップ。そして3つめはロクディムさんの公演でした。「おやこあそび」とワークショップでは「どのようにして即興芝居をつくるか」を、みんなで楽しく学びました。子どもが宇宙の王様になったり……森の中に迷い込んだ高校生が恐ろしい生物に出会ったり……と、会場は笑いが止まらない大盛りあがり。


※①おやこあそびの様子

そして、締めはロクディムさんの公演です。公演の直前にお客さんには紙が渡され、そこに様々な質問が書かれていました。「上司に言いたいことは?」「失恋した友人にかけたい言葉は?」等々。その質問の答えとして書かれた言葉が、劇中にリアルタイムで盛り込まれていくのです。これはもう、面白くないわけがない。奇想天外な展開に、お客さんは爆笑の嵐。会場全体に幸福感が溢れておりました。





僕も演劇をやっている身なので、しみじみと思うのですが、「言葉の鮮度」というのは生まれた瞬間がとても煌めいていて、価値あるものだと思っています。だから、役者さんたちは用意された言葉の鮮度をどのように保つか……というのが常に課題としてあるものですが、即興芝居ではその鮮度が、常に最高の状態で提供され続けるのです。これは、ほんとうに贅沢な時間だなと思います。ほんとうに鮮度溢れる言葉って、生き生きと世界を色付かせてくれて、普段の生活の中でも「鮮度溢れる言葉が沢山ある」って気付かせてくれます。この公演を観た人は「あぁ、世の中ってのは美しいんだなぁ」って思われたんじゃないでしょうか。とても素敵な公演だったのです。



●即興芝居の可能性
文:ハギハラヒロキ(いわきアリオス 企画制作課)

今から10数年前の話、私が大阪の大学で演劇を学んでいたころ、授業の一環で即興芝居と出会いました。当時は役者を目指していた私は、「エチュード」と呼ばれるその即興芝居の稽古に悪戦苦闘していました。私も大阪人の端くれですから、即興芝居の最中に人を笑わせたいという欲がでてしまうことがあります。その欲がチラリとでも顔をだした瞬間、「嘘をつくな!」と怒られるのです。「笑わせたい」などの役者の欲は観客にすぐバレてしまい、それがバレた途端に目の前で行われている芝居が嘘だとわかり、観客は冷めてしまいます。つまり、即興芝居で観客を笑わせるのは、ものすごく大変なことなのです。ところが、この日の中リハーサル室は朝から1日中、絶えず笑い声が響いていました。それを間近で見ていた私は、ロクディムの皆さんに大学時代の自分を重ね、その才能と実力の差にガタガタと震えながらも、演劇のもつ豊かさに胸を打たれていました。





ロクディム共同主宰のカタヨセヒロシさんは、いわきのご出身です。高校を卒業してからは東京にでて、今のメンバーと出会うのですが、高校時代はいわきで演劇部にも所属していました。それから10数年、あの東日本大震災が故郷を襲います。自分の故郷が大変なことになった。演劇でなにか少しでも応援ができないかと、カタヨセさんの葛藤が始まりました。そして、2011年6月に様々な人の協力を得て、初めてのいわき公演が実現します。(いわきでの活動は、カタヨセさん自身がまとめた、こちらも読んでみてください。ロクディム、再び福島いわきへ。いわき演劇祭2016へ向けてのカタヨセヒロシの想い





そして、今回の「いわき演劇祭2016」への参加が決まり、初めてのいわきアリオスでの公演が実現しました。ロクディムのメンバーだけでなく、ピアニストの小西真理さんも加えたスペシャルバージョン。即興で進むお芝居を邪魔することなく、的確に場面を盛り上げる演奏は、まさに神業でした。ロクディムのメンバー、ピアノ演奏、そして観客の心がひとつになり、唯一無二の物語が誕生する瞬間、あの瞬間の魂が震えるような、血が逆流するような感動は、今でも忘れられません。
全国各地を飛びまわり、笑いと感動を届けているロクディムの皆さん。今回は見逃してしまった方も、どこかの地域で見かけたときは、ぜひ体験してみてください。すぐにでもまた会いたい。心の底からそう思える、本当に素敵な皆さんです。いわきでもまた会いたいなぁ。




永らくお送りしてきた「いわき演劇祭2016」の観劇レポートも、次回がいよいよ最終回です。次回は11月26日(土)・27日(日)に開催した、劇団いわき小劇場・劇団いわき青春座「平成版 ちゃぶ台の詩」です。お楽しみに!

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