【いわきアリオス10周年】tupera tupera 詩の神さま 誕生裏話 WEB編

2018.3.20

 2017年5月頃から企画の構想が始まった「いわきアリオス開館10周年プロジェクト」。その核になるテーマを探していたとき、開館時の2008年にアリオスに贈られ、皆さんとの共通言語として多くの方に読んでいただきたい組詩『アリオスに寄せて』の存在にあらためて注目しました。「使い倒して」というメッセージと共に詩人・谷川俊太郎さんから贈られたこの詩は、アリオススタッフが「どうすべきだろう」と悩んだ時などに、初心にかえる存在としても大切にしています。とはいえここ数年、アリオスとしてこの詩を大きく取り上げる機会がなかったため、10周年を機に、あらためて市民の皆さんをはじめとしたお客さまと共有し、新しい創造・想像活動につなげていただくきっかけになればと考えました。
 ●詩が生まれたときのお話は、谷川俊太郎さん インタビュー「使い倒して。詩も。ハコも。」でお読みいただけます。

開館10周年のキャッチコピー「たくさんのつながり これからも」の気持ちを、『アリオスに寄せて』を通し、どのように表現しようか……お世話になった多くの方とのご縁を大切にしながら、今まで取り組んだことのない方法で詩に潜んだ“魅力”をひきだす機会にしたいと、『アリオスに寄せて』を新しい形で楽しむ記念リーフレットを制作することにしました。

どんな方と制作を行おうかと考えた時に真っ先に浮かんだのが、幅広いフィールドで活躍するアートユニット tupera tupera(ツペラ ツペラ)です。tupera tuperaは、NHK Eテレの番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションや、世界各国で翻訳されている人気絵本『しろくまのパンツ』『パンダ銭湯』等の絵本の制作、絵本や工作にまつわるワークショップ、CDジャケットやキャンペーンのヴィジュアル制作等、多方面に活躍されています。


作品のごく一部や展覧会の図録より。どの作品も趣向を凝らしつつもシンプルで、かつユーモアに溢れた、幅広い年代の方が楽しめるものばかり。


tupera tupera(亀山達矢さん 中川敦子さん) ©RYUMON KAGIOKA

子どもから大人まで多くの方を虜にするtupera tuperaの2人の活動は、アリオスの「誰もが気軽に集い、アイディアに溢れた場づくりをしたい」という想いに通じるものがあるのでは、と前から感じており今回お声掛けしたところ、「10周年という節目にこのようなご縁があって嬉しい」と快くお返事をくださり、連絡を取り合うようになりました。

一緒に作品をつくるという意味では、今回初めての機会になりますが、実は、アリオスで2013年、2014年に実施した演劇のシリーズ「こどもの劇場」の座・高円寺レパートリー『ピン・ポン』『ふたごの星』の舞台美術を、tupera tuperaが担当しており、幅広い年齢のお客さまを“創意に飛んだ舞台の世界”に惹き込んだことは記憶に新しい方もいらっしゃるのでは。


『ピン・ポン』より (撮影:村井佳史)


『ふたごの星』より(撮影:田子和司)

さらに、『ふたごの星』の公演の際には、事前に劇の世界観を伝えるため、広報紙 アリオスペーパー vol.37(下画像参照)のページ内で、tupera tuperaのイラストを使用するなど、何かとご縁を感じながら、いつかはアリオスでご一緒してみたいと思っている2人でしたので、スタッフとしては念願叶ってのコラボレートになりました。


そんな小さな“つながり”がありつつも、アリオスに足を運んだことのないtupera tuperaが、組詩『アリオスに寄せて』を読むところから、このコラボレートはスタートしました。tupera tuperaは、完全に手作業のみで制作するため、絵をリーフレットにしていく過程では、市内を拠点に活動するデザイナー:ウザワリカさんにも多大な協力をいただきました。

詩と、tupera tuperaの作品をどのようにコラボレートさせるかを、具体的にしていく段階では、屏風のようなじゃばら型、変わり折り紙のような仕掛け付き……色々な案が出たのですが、tupera tuperaの「すごくいい詩なのでストレートに詩から発想する絵をつくってみたい」という想いと、デザイナー:ウザワさんの「4編の詩の特徴がはっきりしているので、それぞれ擬人化してみてはいかがでしょうか!」というアイディアとが組み合わさり、4編からなる組詩『アリオスに寄せて』から4人の詩の神さま、そしてその神さまをかたどったお面型リーフレットをつくることに。

2018年の3月初め。春の嵐の訪れとともに京都のtupera tuperaアトリエに「詩の神さま」たちを受け取りにうかが、合わせて制作への想いをお聞きすることができました。


ガラス張りのアトリエには、清々しい光が入り込んでいました。

「谷川俊太郎さんとは『これはすいへいせん』(金の星社)という絵本でご一緒していて、今回2回目ですが、『アリオスに寄せて』、素晴らしい作品ですね! 劇場という存在が、あらゆる角度から的確に表現されているなぁと感じました。すっと入ってくるスピード感と、気持ち良さがあって、これまではやったことはありませんでしたが、詩から画を描くということに挑戦したい! と、心を込めて取り組みました。
 制作にあたっては、4編の詩の違いが出て、シンプルだけれどもイメージが膨らむよう、アリオスの皆さんからの言葉と、2人で話して浮かんだモチーフや風景を当てはめました。具体的なモチーフ等は見てくださった方に、自由に想像していただけたらなと思います!


(アリオススタッフに書いてもらった4編の詩についてのアンケート。普段劇場にいるからこそ、色々な言葉やイメージが浮かび上がってきました)


(tupera tupera手書きの神さまたち創作メモ。最終的な形とはやや異なるデザインも案にあったようです)

 そう、舞台の世界って裏と表がはっきりしていてすごいですよね。美術や照明、音響で自在に空間をつくるのに、終わったら何もなくなってしまう。生きているというか、想像が膨らむエネルギーがある場所。神さまたちは、舞台や劇場のお仕事で感じたワクワクや遊ぶ感覚も大切にしてつくったので、多くの方に神さまで“遊んで”もらえたら嬉しいです。名前をつけるとか、踊りになるとか、全然違う形に変身しちゃったり……」

と言いながら、ほかのお仕事でつくった大きなお面やダンスの映像などを見せてくださいました。思い立ったらまず動く! tupera tuperaのお2人らしい一面が垣間見える一コマでした。
詳細画像

tupera tuperaのアトリエにうかがって思ったのは、“tupera tuperaの創作への取り組み方は、舞台の創作現場に似ている”ということ。「ここがアトリエです」とご案内いただいた場所があまりにスッキリとしていて「ここで制作を行っているのですか?」と聞くと、「一つの仕事が終わったらすぐに片付けて綺麗にするんです、そうしないと次に進めない。そういう点では舞台に似ているかもしれませんね」とのお返事が。舞台の現場との共通点を見出すことができ、そして、そこから生み出された“神さま”からまた新たなエネルギーを感じる、意義深いアトリエ訪問でした。

構想約半年、制作約1ヵ月、それらが形になるまで約1ヵ月……神さまたちの豊かな色を印刷で美しく出すために、リーフレットのデザイナーのウザワさん、アリオスペーパー vol.60の表紙を担当した高木市之助さん、印刷所の方も試行錯誤を繰り返すなど、多くの方の力をいただいてできあがった「お面型記念リーフレット」、そして神さまを表紙に据えた「アリオスペーパー vol.60」。


リーフレットの印刷に向け、色の調整をするウザワさんと印刷所の方。

この神さまたちと“遊ぶ”ように、アリオスでも新しい展開ができるようにしようと思っていますので、ぜひお手に取ってみてください! そして、この絵や『アリオスに寄せて』から皆さんの新しいアイディアが生まれるきっかけになれば、嬉しいです。

\4人の詩の神さまにはここで会えます/
■アリオスペーパー vol.60
〔発行日〕3/28(水) 
〔配布方法〕いわきアリオス、支所、公民館、学校等市内外の施設・店舗での配架

■組詩『アリオスに寄せて』 tupera tupera版 お面型記念リーフレット
〔配布日〕4/7(土)〜 ※無くなり次第終了
〔配布方法〕いわきアリオス館内、(4月下旬〜)支所、公民館等市内施設
     (5月下旬)ダイレクトメール送付希望者

■『詩の神さま』原画 展示
日替わりで1枚、神さまの原画を展示いたします。
〔展示開始日〕4月下旬(予定)
〔配布方法〕いわきアリオス 1階インフォメーション カウンター脇

皆さま、神さまたちをそしていわきアリオスを、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

余談:
素敵な“神さま”を生み出してくれたtupera tupera。2017年は活動15周年にあたり、通常の仕事に加え、絵本の活動に焦点をあてた展覧会「ぼくと わたしと みんなの tupera tupera 絵本の世界展」を、全国各地で開催する準備にも大忙しだったそうです。2018年6月10日(日)までは、亀山さんの地元である三重県の三重県立美術館にて、最後の巡回展が行われています! 遠方ですが、気になる方はぜひ足を運んでみてください。


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