【さきどりアリオス】劇作家・演出家 谷賢一さん 福島三部作・第一部「1961年:夜に昇る太陽」インタビュー/2018年2月

2018.3.24

 2018年7月7日(土)、8日(日)にアリオスで初演される福島三部作・第一部「1961年:夜に昇る太陽は、劇作家・演出家・翻訳家として活躍し、次代の演劇界を担うと言われる 谷 賢一さん(福島県生まれ千葉県柏市育ち)が、作・演出を行います。東日本大震災を経て、福島での取材や膨大な資料を読み込み、約7年かけて、今まさに執筆中のこの作品。どんな思い出制作しているのか……
 2018年2月12日(月・休)の前日まで、KAAT神奈川芸術劇場(横浜市)、札幌市教育文化会館で、松岡充さんや白井晃さんら豪華出演陣による『三文オペラ』(作:ベルトルト・ブレヒト)の演出を行なっていた谷さんが、打ち合わせのためにいわきを訪れたのですが、その際に簡単なインタビューを敢行。
 いらした時にアリオス館内でグッときたものが、当日大ホールで開催されていた「いわき吹奏楽団 THE CONCERT 2018」のキャッチコピー“年に一度のいわ吹の演奏会 来るならパパと、そして、ママト”だったという谷さんが、作品について語ります。大注目のこの作品の制作過程、ぜひ公演前にお読みください。


谷 賢一さん(作家・演出家・翻訳家)
<プロフィール>1982年、福島県生まれ、千葉県柏市育ち。DULL-COLORED POP主宰。Theatre des Annales代表。2013年には『最後の精神分析』の翻訳・演出を手掛け、第6回小田島雄志翻訳戯曲賞、ならびに文化庁芸術祭優秀賞を受賞。また近年では海外演出家とのコラボレーション作品も多く手がけ、シルヴィウ・プルカレーテ演出『リチャード3世』(東京芸術劇場プレイハウス)、フィリップ・デュクフレ演出『わたしは真悟』(KAATホール/新国立劇場 中劇場)、シディ・ラルビ・シェルカウイ演出『PLUTO』(シアターコクーン)、アンドリュー・ゴールドバーグ演出『マクベス』(PARCO劇場)、デヴィッド・ルヴォー演出『ETERNAL CHIKAMATSU』(梅田芸術劇場/シアターコクーン)などに、それぞれ脚本や演出補などで参加している。2016年、セゾン文化財団ジュニア・フェローに選出。また同年より新国立劇場・演劇研修所にて講師を務める。近年の代表作に、KAAT『三文オペラ』(上演台本・演出)、『デジモンアドベンチャーtri. ~8月1日の冒険~』(上演台本・演出)、新国立劇場『白蟻の巣』(演出)、ホリプロ『わたしは真悟』(脚本)、地人会新社『テレーズとローラン』(作・演出)、梅田芸術劇場/シアターコクーン『ETERNAL CHIKAMATSU』(脚本)、ワタナベエンターテインメント『オーファンズ』(翻訳)、あうるすぽっと『TUSK TUSK』(演出)、KAAT『ペール・ギュント』(翻訳・上演台本)、PARCO『マクベス』(演出補)、東宝『死と乙女』(演出)、シアターコクーン『PLUTO』(上演台本)、DULL-COLORED POP『演劇』(王子小劇場)・『河童』(吉祥寺シアター)、Theatre des Annales『トーキョー・スラム・エンジェルス』(青山円形劇場)、東京グローブ座『ストレンジ・フルーツ』(演出)、シアタートラム『モリー・スウィーニー』(翻訳・演出)などがある。■谷賢一 ブログサイト  ■谷賢一 twitter



今日、いわきにいらっしゃる直前まで、『三文オペラ』(作:ベルトルト・ブレヒト)の演出に取り組んでいらっしゃいましたが?
 稽古と本番だけでも2ヵ月半かかわった『三文オペラ』、劇場も1,100名入るようなところで上演していましたし、本当にスケールの大きい作品だなと、終わってみてあらためて感じているところです。まだ興奮冷めやらぬ中ですが、次を見据えて、早めに頭を切り替えたいと、札幌公演を終え、すぐにいわきに打ち合わせに伺いました。

『福島三部作』は、『三文オペラ』とはまた違ったスケールの大きな作品になりますが、制作の発想にある想いを、まずお聞きしたいのですが
 『福島三部作』は、2011年3月の東日本大震災以降、いつかは取り組まなければと思いながら過ごしており、約7年。「これはなんとかして形にしなくてはいけない」と、時間をつくって、今、ようやく制作に向かっているところです。
 というのも、自分は千葉県育ちですが、元々郡山の病院で生まれていて、母は浪江〜郡山〜石川町と福島県で育ち、父は原子力発電所に関係するところで技術者をしていて、東日本大震災の後、特に福島での出来事は、自分にとって接近した話題であったわけです。ようやく浪江町の一部は、避難指示が解除される場所にはなりましたが、でもやはり「故郷を奪われた」という状態の母がおり、一方で自分は、言って見れば原発のお陰でご飯を食べてこられた時期があるわけで、福島で起こったことは、自分にとって切実な話て押して「書きたい」という想いがありました。ようやくそれが実現する時期にきたのかな、と筆を進めています。


制作にあたって、何回か取材に来られていると聞いていますが、どのように行なったのでしょうか?
 大きな取材としては、今まで2回。1回目は2016年の末に10日間、偶然の出会いや予期せぬ情報を求めて、あまりキメにせずに、言葉を集めていきました。例えば、道端で偶然出会ったリンゴ売りのおばちゃん、酒場で会ったおっちゃん、twitterで情報をくれた知らない人などと喋って、約50名から
「生の声」や「こんなドラマがあったのか」というエピソードを拾い上げて行きました。
 2回目は、作品の方向性が大体決まってきたので、2017年5月に3週間ほど、福島県内を放浪するような形で行いました。「この人に話を聞きたい」「ここにしかない資料を調べたい」「あの場所を実際に目で見てみたい」ということを絞り込み、色々な方のツテを頼って、突撃取材を繰り返しました。初めてアリオスを訪れたのも、その時期です。

●そのように様々な方面から取材を進められて、作品自体はどんな内容になっていくのでしょうか?
 今回は『福島三部作』ということで、3世代の家族の話にしたいと思っています。7月に上演する第1部は、1960年代の福島県のとある町を舞台に、その家族の1世代目が主な登場人物になります。東京に行こうとする青年と、町に残ろうとする家族がいて、そしてそこに突如立ち上がった「原発建設に関わるニュース」が村を揺るがし、人々に問いかけていくーーこの時代(1960年代)に、実際にあったお話をベースにした内容です。
 経済、歴史、原発という言葉が見えたり聞こえたりすると、大げさに感じられるのですが、実際にそれらを動かしているのは家族であり、隣にいる人への愛だったりしますよね。すごく小さな物語が、実は大きな歴史のドラマとつながっていると思っていて、そういうところを描いていきたい。3部作というスタイルと、家族の物語を通して、日本全体の問題につながるスケールの大きなものを捉えていきたいです。
 このお話は、過去・現在を映し出しながら、この後50年、100年と続くテーマを扱っていますので、そのスケールに負けないよう、今までにない気合いやエネルギーで机に向かっています。福島の方はもちろん、全国(全世界と言ってもいいですが)の方の問題でもある普遍的な内容になるので、色々な方にご覧いただきたいです。劇場でお待ちしています!


【予約受付中!】
以下2作品のお得なセット券もご用意しています。
●アリオスで世界初演を迎える 福島三部作・第一部「1961年:夜に昇る太陽」<関連企画のトークとワークショップもあり>
●8年ぶりに、結成25周年を迎える記念公演がアリオスに登場!いわきアリオス開館10周年記念 ナイロン100℃ 25周年記念 46th SESSION「睾丸」

関連イベント

この記事を読んだ人は以下の記事も読んでいます。

    共通フッター

    PAGE TOP

    本サイトの著作権(copyright)