追悼:イ・クトゥ・スウェントラさん(スアール・アグン代表)

2018.5.15

文:前田優子(企画制作課)
写真:鈴木穣蔵

「アリオス ワールドミュージックコレクション2016 スアール・アグン」(2016年9月に開催)にご出演いただいた、インドネシア共和国・バリ島のジェゴグ(竹製ガムラン)楽団「スアール・アグン」の代表、イ・クトゥ・スウェントラさんが、2018年5月10日、病気のためお亡くなりになりました。71歳でした。



開館の2008年よりほぼ毎年開催してきた「アリオス ワールドミュージックコレクション」では、これまで各国の音楽や文化をご紹介してきましたが、なかでもスアール・アグンの皆さんとの思い出には、格別なものがあります。


いわきアリオスでの公演が日本ツアーの初日にあたるため、バリ島から船便で届いたジェゴグ(楽器)の調律・調整をするために、いわき市田人町の旧・田人第二小学校校舎を利用してその作業を行い、スウェントラさんはじめスアール・アグンのメンバーは5日間にわたり田人町に滞在しました。期間中は、田人小・中学校や、地元・入旅人(いりたびゅうと)地区の皆さんとの交流も行いました。


言葉も通じないのに驚くほど打ち解けあっていた、スアール・アグンと入旅人の皆さん。穏やかで心優しい互いの性格と、自然への畏敬・感謝という共通の念が、言葉を超えた「共鳴」を生んでいました。
調律を終えた楽器をアリオスへ運び出す日の朝には、入旅人のみなさんがトラックへの積み込みを手伝い、送り出してくださいました。
スウェントラさんは「この地から旅を始めることができて本当に良かった」とおっしゃっていました。



第二次世界大戦後、一度は廃れてしまったジェゴグの復活と継承に人生をかけて力を注ぎ、インドネシア政府から人間国宝と認定された権威でありながら、多くの人々に「ジェゴグのおじいさん」として親しみを込めて呼ばれ敬われていた、スウェントラさん。


類稀なる情熱と才能、そして誰にでも等しく優しいお人柄に惹かれ、慕う人々が、インドネシアはもちろんのこと日本にも、そして世界中にもたくさんいます。身体はなくなってしまっても、そのスピリットは確かに受け継がれ、生き続けていくことでしょう。


スウェントラさん、ほんとうにありがとうございました。

ご冥福を、心よりお祈り申し上げます。


【事業レポート】
アリオス ワールドミュージック・コレクション2016「スアール・アグン」・前編
アリオス ワールドミュージック・コレクション2016「スアール・アグン」・後編

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