【スキマチイワキ】「テッペンカケタカ〜綱木・クマガイソウの物語」上演レポート

2018.5.31


文:前田優子(企画制作課)
写真:鈴木宇宙(5/6平中央公園)、アリオススタッフ(5/7綱木)

 2018年5月6日(日)、7日(月)の2日間にわたり、「スキマチイワキmeeting vol.14 テッペンカケタカ~綱木・クマガイソウの物語」を開催しました。


「スキマチイワキ」は、アリオススタッフ自身が「興味のあること」「好きなこと」をテーマに、いわきのあちこちにおでかけし、地域の方々に教えていただいたり、一緒に体験させていただく中で、いわきの魅力を探していこう、という企画です。このスキマチイワキの活動の中で私は、田人町・石住綱木(いしずみつなぎ)地区にかれこれ3年、通いつづけていました。そして念願叶って今年3月下旬、影絵師の川村亘平斎(かわむら・こうへいさい)さんとともに綱木に5日間通い、地元の皆さんのお話を伺うなど取材した内容をもとに影絵作品を制作する機会を持つことができ、このたびその作品「テッペンカケタカ」を初お披露目しました。
初日(5/6)は、心地よい風が流れる、アリオス前・平中央公園で。日没を待つ短い時間に、スキマチイワキ・ナビゲーターの藤浩志さんと川村さんによるミニトークを行いました。

川村:僕はインドネシアの古典影絵「ワヤンクリット」を長年学び、同時にアメリカで現代的な影絵演出家のところにも通いながら、土地の人たちのお話を聞いたり、ときには土地の人たちと一緒に影絵作品をつくる活動をしています。福島県を訪れるのは2回目で、最初は2015年に南相馬市小高(おだか)区にお住まいの10組の家族と一緒に、地元の伝説を調べて作品を作り、一緒に演じるということをしました。
(リンク)→南相馬で行われたワークショップの模様


(川村亘平斎さん)

川村:インドネシアの古典影絵「ワヤンクリット」は、土着の昔話とインドの話(=古代叙事詩『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』など)がくっついていて、ヒンドゥー教寺院の宗教儀礼の中で演じられることが多いです。しかし古い物語を古いまま演じるのではなく、新しい演出や表現を試したり、新しいストーリーを加えたりしながら演じています。そうして外側は変わっていくようだけれど、昔から伝わっている「大切なもの」=「伝えたいこと」の軸は変わらないで継承していっています。僕も、影絵というある意味古いツールで表現するとしても、地元の人たちが自分たちの住んでいる場所を、もう一度新鮮な気持ちで見直し楽しめる、地域の人たちと共有できたらいいな、と思っています。

藤:伝統工芸にも似たようなところがありますよね。昔からの形をそのまま残そうとだけしていくのではなく、新しい視点で見直し、時代に受け入れられるものに「更新」していくことができるものが、結果的に後世に残っていけているように思います。……あ、カラスが鳴いてる。なんか、いいよね、こんな雰囲気(笑)

(藤浩志さん)

藤:アリオスは今年で10周年。こんな大きな立派なホールがあるのに、その中でやらずに公園でやる、というね(笑)。僕は開館前からアリオスに関わっているんですが、ホールの中を利用される方はたくさんいらっしゃるわけだけど、「文化・芸術」といわれるものは、実は地域の中にもたくさん潜伏していて、そことホールがどう接続していけるかが、僕はいちばん重要な気がしている。「スキマチイワキ」も、そんな活動のひとつなんですよね。

綱木での取材
川村:3/16〜3/20の5日間、 毎日通って、綱木にお住まいの8名の方にお話を聞きました。
藤:皆さんよく話してくれましたね!
川村:最初はやはりお互い緊張していたし、僕はまず方言を聞き取るところから苦労しましたが、だんだん打ち解けてきて、いろいろお話聞かせてもらったり、話のゆかりの場所へ案内してもらったりしながら取材をしていきました。クマガイソウの物語を作品にする、ということだったんだけど、実はクマガイソウを紹介するなら、あの見事なお花畑を直接見るのが、一番説得力があるんですよね。今回作品化するにあたっては、なぜあの地にクマガイソウがあんなに咲き誇っているのか、その「不思議」を、物語の軸に表現したいと思いました。取材する中で、クマガイソウの花畑の麓にかつてあった桜のご神木と、そばにわいていた井戸の話を聞かせてもらったところからイマジネーションが湧き、今回の物語ができました。

お話をしていると日没時刻に。「インドネシアの影絵はスクリーンの前からも後ろからもどちらからも見ていいんです。今日も、好きな場所から、自由に見て楽しんでください」と川村さんに誘われ、いよいよ上演です。


「テッペンカケタカ」は、ホトトギスの鳴き声の擬音語。物語は、綱木の伝説の中に出て来た「ホトトギスの金太」をストーリーテラーにして進んでいきます。
影絵人形を声音を巧みに使い分け、さらに演奏、照明操作、そのすべてをほぼ一人で操りながら演じる川村さんのパフォーマンスに、お客さまたちはとにかくびっくり。そしてスクリーンの周りをあちこち動き回りながら、楽しんでいました。


翌日は(5/7)は、午後からあいにくの雨に見舞われました……でも、どうしても綱木の皆さんにご覧いただきたい。ということで、クマガイソウを植え育てた、故・平子長雄さんのご自宅前の庭をお借りして、テントを設営し少し規模を縮小して上演しました。

冷たい雨に打たれながらの公演はさすがに大変でしたが、綱木の皆さんが楽しそうに見入る姿を観て、感激しました。(終演したとたんに雨が止んだのには参りました!)


(綱木の皆さんと。)


ご覧いただいたお客様からは、再演を望む声をたくさんいただきました。なんとか実現できる機会をもてるといいなと思っています。
お越しくださった皆さま、ありがとうございました。



3月の制作の様子はこちらのブログをごらんください。
【スキマチイワキ】「テッペンカケタカ〜綱木・クマガイソウの物語」影絵制作日記

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