【さきどりアリオス】福島三部作・第一部「1961年:夜に昇る太陽」福島取材の足取りを辿る

2018.7.4

文:永沼絵莉子(広報グループ)

 今週末7/7(土)、8(日)にいわきアリオスの小劇場で世界初演を迎える、劇団DULL-COLORED POP(ダルカラード ポップ、通称“ダルカラ”) vol.18 福島三部作・第一部「1961年:夜に昇る太陽」。
 作・演出の谷 賢一(たに・けんいち)さんは、福島県生まれ。東日本大震災以降、谷さんの心の内にあった問い「原発事故はなぜ起きてしまったのか?」に答えを出すべく、現地に足を運び、そこに住む人から話を聞き、多くの書籍を読み、今回の作品が形作られていきました。2年かけて行われたこの取材。一体いつ、どこに足を運び、どういった方から話を聞いたのか、その足取りを振り返ります。
福島三部作取材

◯福島三部作のはじまり
 2016.12/2(金)『2年かけて描く「演劇・福島3部作」プロジェクト、始めます』(谷 賢一ブログサイト)

◯2016.12/4(日)~11(日) 第1回福島取材
 先述のブログ記事を公開して連絡のあった方々を頼りに、新白河駅からまずは故郷・石川町へ行き、須賀川市、郡山市、二本松市、飯館村などあちこちを回っています。 基本的に、自転車で県内を移動していた谷さん。須賀川市への道すがらリンゴの直売所の方とお話したり、畑にいる方に道を尋ねたり、谷さんの“そこで暮らす人と話をしたい”という取材への姿勢が窺えます。また、食事で立ち寄ったお店の方との会話を受けて、取材中の谷さんのツイートの言葉も印象的でした。

「家族や家や仕事や畑、人生の一部を奪われて、それでも「震災のおかげで気づけたことがあった」と言う人に何人か会った。強い人だ、と言うのは簡単だけれど、多分みんな元から強かったわけじゃない。ああいう意味不明な、馬鹿げた、甚大な、不条理な事態を乗り越えるためには強くあらねばならなかった。」
「人間誰しも心に地下室を持っていて、そこには普段自分でも触らないような古い荷物がいくつか置かれている。それは当たり前だ。しかしこの土地に住む全員の、全員の地下室に「あの日」にまつわる荷物が必ず置かれている。笑っている人も元気な人も眠そうな人も無表情な人も必ず。そのことに圧倒される。」
(2016.12/8)
『第1回福島取材旅行を振り返る』(谷 賢一ブログサイト)

 また、一度東京に戻られた後、12/12(月)にはいわきアリオスへいらっしゃいました。館内を案内し、対応した演劇担当・ハギハラと、わたくし永沼からも少し震災当時の話をしました。
 次の日12/13(火)には、双葉町役場いわき事務所へ。元福島県知事・佐藤栄佐久氏の疑惑の収賄事件を追ったドキュメンタリー映画『知事抹殺の真実』いわき試写会にも参加され、第1回福島取材は終了しました。

◯2017.5/20(土)~6/3(土) 第2回福島取材
 第2回福島取材は、NPOふくしま再生の会への取材も兼ねて、飯舘村での田植え作業からスタート。
『福島取材・飯舘村で田植え』(谷 賢一ブログサイト)
 21(日)の田植え終了後には、お母様の故郷・浪江町にも足を運んでいます。
『福島取材・浪江町を歩く』(谷 賢一ブログサイト)
 22(月)は双葉町職員の方とともに、町内を見学しています。 児童たちが避難をした当時のまま、ランドセルや体操着袋が残されている小学校の教室や、傾いたままの家屋、時間の止まってしまった町並みの中で“復興”の現実に直面したようでした。
『福島取材・時間の止まった双葉町を歩く』(谷 賢一ブログサイト)
 その後は、双葉町議会議員・岩本久人さんとお会いし、また別の日には富岡町や、広野町のふたば未来学園高校の演劇部を訪れています。
 さらに再びいわき市へおいでになり、いわきから広野町・楢葉町・富岡町・大熊町・双葉町・浪江町の海岸沿いを北上して南相馬市へ。南相馬市には、今回の作品にも出演するDULL-COLORED POP劇団員の大原研二(おおはら・けんじ)さんのご実家があります。
『福島取材で見えてきた、歴史の連なりに関するメモ』(谷 賢一ブログサイト)

『第2回福島取材を終えて』(谷 賢一ブログサイト)

 東京に戻られてからは、2017.6/7(水)に「福島三部作・取材報告会」を開催。今回の取り組みに興味を持っている方々が集まり、福島の銘菓と共に谷さんが実際に見てきたもの・会ってきた人々についての話を聞く機会となりました。
 それに合わせて、福島三部作のクラウドファンディングがスタート。
「2年かけて描く『福島・演劇3部作プロジェクト』」


◯それから、公演の内容が固まりつつあった2018.2/12(月)、13(火)。谷さんはまたいわき市にお越しになり、いわき市石炭・化石館 ほるると、みろく沢炭鉱資料館への取材を行いました。
福島三部作取材
【さきどりアリオス】劇作家・演出家 谷賢一さん 福島三部作・第一部「1961年:夜に昇る太陽」いわき取材レポート

さらに、このときに答えていただいたインタビューはこちら。
【さきどりアリオス】劇作家・演出家 谷賢一さん 福島三部作・第一部「夜に昇る太陽」インタビュー
福島三部作取材


◯2018.5/3(木・祝)からは、東京にてプレ稽古が行われ、いよいよ谷さんの執筆作業も大詰めに。
 5/18(金)には、作中に上野駅から双葉町まで常磐線に乗るシーンがあるため、実際に上野駅から現在避難解除されている富岡町まで北上。途中、「第8回太平洋・島サミット」で賑わう湯本駅にも降り立ちました。

 5/26(土)、27(日)には、再びふくしま再生の会とともに、飯舘村での田植えに参加します。今回は、DULL-COLORD POPの劇団員を中心とした本作品に出演する皆さんも一緒でした。

(ふくしま再生の会 動画アーカイブより)


◯6/1(金)にはいわき市内にて、公演の広報のため新聞社やラジオ局等をまわり、翌日2(土)にはいわき在中の郷土史家・江尻浩二郎(えじり・こうじろう)さんの案内で小名浜地区へ。

福島三部作取材
小名浜本町通りにある、オルタナティブスペース・UDOKにて。写真左が江尻さん。

福島三部作取材
三崎公園で、いわきマリンタワーを背景に。暑い日でしたが、小名浜の海風を浴びて谷さんも「海好きだなぁ」と呟く、爽やかなひととき。

福島三部作取材
また、小名浜地区にある復興公営住宅・下神白(しもかじろ)団地と災害公営住宅永崎団地にも足を運びました。
この2つの団地は道路を挟んで建っていますが、下神白団地は県営で、富岡町・大熊町・双葉町・浪江町の方が入居されています。一方で、永崎団地は市営のため、いわき市内の方が入居されています。

福島三部作取材
現在は待望のオープンに盛り上がるイオンモール小名浜も、この日はまだオープン前。

夕方からは、谷さんと江尻さんのお二人による福島三部作・第一部「1961年:夜に昇る太陽」関連企画 演出家トークを行いました。
福島三部作取材
谷さんが演劇を始めるきっかけから、福島での取材旅行のこと、「1961年:夜に昇る太陽」の予告・見どころまでたっぷりお話ししてくださいました。

福島三部作取材
これまでの取材の際に撮った写真も紹介しながら、印象的なエピソードを語る谷さん。

翌日3(日)は、同関連企画の演劇ワークショップを開催。

福島三部作取材
午前の「身体と出会う」編では、身体をつかったゲームで参加者同士の身と心をほぐし、後半は身体と空間を意識した表現に挑戦。

福島三部作取材
午後の「声を見つめる」編では、発声の基本を学んだあとに、セリフを使った表現の幅の広さを楽しみました。


◯そして6/5(火)から、いよいよ東京都内にて本格的な稽古が開始されたのです。
 稽古ではまず、出演者陣が福島の訛りを習得することから始まったそうです。先述の南相馬市出身の劇団員・大原研二さんや、客演の飯舘村出身の大内彩加(おおうち・さいか)さんが中心となって猛特訓したという福島訛りも、公演の楽しみの一つではないでしょうか。
 そして稽古の真っ只中、先述のクラウドファンディング参加者へ向けた報告会や、プレリーディング公演、稽古場見学も行われていました。
 さらに公演の差し迫ってきた22(金)からは、出演者へのロング・インタビューを公開。
 今回の福島三部作は、2016年の「演劇」公演で活動を一時休止していたDULL-COLORED POPの、2年ぶりの活動再開公演でもあります。劇団員の方々は2年ぶりにダルカラとして集まって再確認した“劇団”について、今回オーディションで選ばれた客演の若手の方々はオーディションを受けたきっかけについて、そして東日本大震災当時のことについて、今回の作品・ご自身の役どころについてなどお話ししています。
「出演者へのロング・インタビュー公開」

また、Alios YouTube Channelでは、谷さんへのインタビュー動画も配信しています。こちらもぜひご覧ください。


なお、当記事の福島三部作・取材の足取りについては、『谷賢一・2年かけて描く「演劇・福島3部作」プロジェクト非公式まとめ』を参照いたしました。


 いよいよ今週末7/7(土)、8(日)にいわきアリオス小劇場で行われる、ダルカラ活動再開公演かつ福島三部作 世界初演。谷 賢一さんが何度も県内へ足を運び、多くの方と出会い、聞いた「2011年3月11日までの話」そして「2011年3月11日からの話」が、物語になり、演劇作品として幕を開けます。
 取材中、谷さんは「しかしまぁ掘れば起こる震災の話。当事者ではなかったのは我々だけで、現地にいた人には何かしら必ず重大にして痛切なエピソードがある。その全てを演劇化することは不可能だろうが、文字数字からだけでは伝わって来ない肉声のリアリティを溜め込むことが今は必要だと感じる」(2016/12.13)とツイートされていましたが、東日本大震災はそこで暮らす人々にとって、何かを決断させる、あるいは諦めさせるきっかけとなりました。きっかけとなったあの時の出来事について、誰もが多くの言葉を胸の奥底にしまっているのだと思います。
 公演終了後には、谷さんとともに本公演について県内の皆さんからの率直な意見をいただく「トークディスカッション」を予定しています。ぜひ皆さんの言葉をお聞かせください。


【予約受付中!】
DULL-COLORED POP vol.18 福島三部作・第一部「1961年:夜に昇る太陽」
〔日時〕2018.7/7(土)18:30開演 8(日)14:00開演
〔会場〕いわきアリオス 本館4階 小劇場
〔料金〕全席指定 3,000円 高校生以下 1,000円
※未就学児入場不可

★以下2作品のお得なセット券もご用意しています。8/11(土・祝)、12(日)ナイロン100℃との2公演セット券 7,000円(一般のみ)
●結成25周年を迎えるナイロン100℃が、8年ぶりにアリオス登場!いわきアリオス開館10周年記念 ナイロン100℃ 25周年記念 46th SESSION「睾丸」

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