【さきどりアリオス】ナイロン100℃「睾丸」東京公演 観劇レポート(※ネタバレ注意です!)

2018.8.6



文:ハギハラヒロキ(企画制作課 演劇・ダンス事業グループ チーフ)

 いよいよ今週末、8月11日(土・祝)・12日(日)にいわきアリオスの中劇場で上演する、ナイロン100℃『睾丸』。いわきアリオス開館10周年と、劇団結成25周年が重なった今年、2010年以来8年ぶりとなるいわき公演が実現します! 7月6日(金)〜29日(日)に開催された東京公演は、全27ステージが連日満席となるほど大盛況。わたしもいわき公演が待ちきれず、7月12日(木)に東京芸術劇場を訪れました。このブログでは、舞台写真を交えながら、その内容を少しだけご紹介します。

【公演データ】
ナイロン100℃ 25周年記念公演 46th SESSION『睾丸』東京公演
〔日程〕2018年7月6日(金)~29日(日)
〔会場〕東京芸術劇場 シアターウエスト
〔作・演出〕ケラリーノ・サンドロヴィッチ
〔出演〕三宅弘城、みのすけ、新谷真弓、廣川三憲、長田奈麻、喜安浩平、吉増裕士、眼 鏡太郎、皆戸麻衣、菊池明明、森田甘路、大石将弘/坂井真紀、根本宗子、安井順平、赤堀雅秋
〔主催〕キューブ
〔撮影〕引地信彦

●東京公演を観たお客さまの感想がこちらにまとめられています(※ネタバレ注意!)
ナイロン100℃ 46th SESSION『睾丸』感想まとめーTogetter





 舞台となるのは、旅行代理店を営む赤本建三(三宅弘城)とその妻である亜子(坂井真紀)、そして一人娘の桃子(根本宗子)が暮らす一軒家。この家には亜子の弟である光吉(赤堀雅秋)が転がり込んでおり、光吉と別れた元嫁の浩子(新谷真弓)も頻繁に泊まりにくるというおかしな状況が続いていますが、当の本人たちはあまり気にしていない様子。しかも、亜子には他に好きな人がいて、近々この家を出ていく予定になっています。
 1993年のある夜、建三と亜子の共通の知り合いである七ツ森 豊(安井順平)の訃報を告げる電報が届きます。赤本夫婦と七ツ森は25年前、学生運動の闘士として、ともに戦った仲でした。七ツ森はある事故がきっかけで意識不明の重体となり、そのまま25年間ずっと意識が戻らない状態が続いていました。


※写真左より立石伸高(みのすけ)、亜子(坂井真紀)、赤本建三(三宅弘城)

 七ツ森の突然の死に驚きつつも、ずっと見舞いにすら行っていなかった建三と亜子は、特に悲しむ様子もありません。そんな2人のもとに、同じく25年前の仲間である立石伸高(みのすけ)が現れます。建三と立石はこの日、偶然にも街中で十数年ぶりに再会し、そのときに建三の連絡先を伝えていたのでした。七ツ森の訃報、そして立石との再会が偶然にも重なり、25年前のことが思い起こされます。しかし、建三と亜子は昔のことを思い出したくないようで、25年前になにがあったのか、不穏な空気が漂います。立石は火事で家を失い、路頭に迷っていたようで、建三に頼み込んで、妻の立石 静(長田奈麻)とともにしばらくこの家に住むこととなります。



 25年前の1968年は、「高度経済成長期」の全盛期で、戦争で焼け野原になった日本が見事に復興し、アジアの発展途上国から、世界有数の先進国へと変貌を遂げた時期でした。しかし、高度経済成長によって経済が急激な発展を遂げても、社会にはそれを受け入れる準備が整っていませんでした。大学も同様で、経済が豊かになり大学の進学率が急上昇し、そこに戦後のベビーブームによって増えた子どもたちの進学が重なり、学生の急増に対応できなくなってしまいます。そんな中、学生たちの大学への不満が爆発し、大規模な学生ストライキが起き始めました。


※写真右が七ツ森 豊(安井順平)

 建三と立石も学生運動に青春を燃やし、大学を改革しようとしていました。そんな彼らのリーダーが七ツ森でした。七ツ森の恋人であった亜子も彼らの活動によく顔をだしていました。七ツ森はカリスマ的なリーダーシップを発揮しながらも、改革のためには暴力も辞さない姿勢で、学生たちをまとめあげていました。しかし、運動資金調達のためには恋人である亜子も利用し、その他にも仲間の知らないところで怪しい動きを繰り返す七ツ森に、だんだんと仲間たちは不信感を抱いていきます。



 高度経済成長によって爆発的な発展を遂げた1960年代と、バブルの崩壊により陰りが見え始める1990年代。この2つの時代は、どちらも日本が大きく変わるターニングポイントであり、それは経済だけの問題ではなく、時代の変化は人々にも大きな影響を与えました。1968年と1993年を行ったり来たりしながら物語は進みますが、そこから2018年の今に繋がる50年の歴史を背景に紡がれる本作は、わたしたちに日本の未来の在り方を問いかけます。




 上演時間は途中休憩を挟んで3時間15分となっています。少し長いと思われるかもしれませんが、展開の巧みさと、個性豊かな役者たちの笑いが絶えない掛け合いにより、長さをまったく感じさせません。前半のうちに張り巡らされた伏線が、後半に一気に紐解かれ、誰も予想だにしなかった結末へと向かいます。物語だけでなく、舞台美術・照明・音響・映像など、舞台を構成するすべてが最高レベルで、25周年を迎えた劇団の実力に圧倒される、またとない演劇体験をお約束いたします。皆さまのご来場、心よりお待ちしております!

【睾丸】出演者からのメッセージもご覧ください!

【予約受付中!】
いわきアリオス開館10周年記念 ナイロン100℃ 25周年記念 46th SESSION「睾丸」
〔日時〕2018.8/11(土・祝)17:00開演 12(日)13:00開演
〔会場〕いわきアリオス 本館2階 中劇場
〔料金〕全席指定 S席 5,500円 A席 3,500円 高校生以下 2,000円
※A席は電話&窓口のみの受付
※当日券は各回、開演の1時間前より販売
※未就学児入場不可

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