【いわきアリオス演劇部2017】アシスタント・菅野蓮華さんによる体験レポートその4

2018.9.15

演劇を通じて、人と人、地域と地域、そして人と地域を繋げる、いわきアリオスの「リージョナル・シアター」。2017年度はいわき市内の4校から参加してくれた15名の高校生と一緒に「いわきアリオス演劇部」を結成し、いわきオリジナルの台本づくりに取り組みました。

2018年2月17日(土)・18日(日)、約7ヵ月間の活動の成果発表として、いわきアリオスの大リハーサル室でリーディング公演『あらゆるところにものがたり』を上演しました。それから半年後の2018年9月29日(土)から、「いわきアリオス演劇部」2年目の活動が始まります。現在は9月21日(金)まで新入部員を募集中。これを読んでくださっている高校生・高専生の皆さん、自分の書いた台本が上演される喜びを、一緒に体験してみませんか?
学校で演劇部に所属している必要はありません。とにかく文章を書くことが好き。人生で一度くらいは演劇をやってみたい。後世になにかを残したい。友達をつくりたい。青春の熱い思い出が欲しい。そんなあなたの入部届をお待ちしています。

このブログでは、アシスタントとして「いわきアリオス演劇部」に参加してくれていた、菅野蓮華さんによる成果発表のレポートをお届けします。参加者の皆さんが書いた15本の作品に、ひとつずつ感想を書いてくれました。ぜひ、お読みください。(いわきアリオス 演劇担当:ハギハラヒロキ)

●これまでの様子はこちらをご覧ください。
「【いわきアリオス演劇部2017】アシスタント・菅野蓮華さんによる体験レポートその1
「【いわきアリオス演劇部2017】アシスタント・菅野蓮華さんによる体験レポートその2
「【いわきアリオス演劇部2017】アシスタント・菅野蓮華さんによる体験レポートその3

【事業データ】
リージョナル・シアター2017
いわきアリオス演劇部「あらゆるところにものがたり」
〔日時〕2018年2月17日(土)・18日(日)15:00開演
〔演出〕三浦直之(ロロ)、大信ペリカン(シア・トリエ)
〔出演・ファシリテーター〕板橋駿谷(ロロ)、佐藤隆太(シア・トリエ)
〔作・出演〕猪狩伊吹、猪狩敬仁、今井 楓、岩本亜純、香西 守、齋藤永遠、白土和奏、鈴木歩月、関根颯姫、西村麻奈、原田菜楠、蛭田真衣、松本ひな子、水庭源八、渡邉佑子
〔撮影〕白土亮次




文:菅野蓮華(かんの・はすか/東北大学 大学院 工学研究科 博士前期課程3年)

2017年7月にスタートした「いわきアリオス演劇部」では、15名の高校生の皆さんが演劇の台本を書き上げることを目標に、ワークショップを重ねてきました。そして、その成果を発表する場として、リーディング公演『あらゆるところにものがたり』がありました。1人1人が完成させた短い物語をつなぎ合わせ、なかなかの厚みとなった1冊の台本。リーディング公演では、役者がその台本を持ったまま演じます。演じるのも、作者である高校生たちですが、高校演劇とは違って、セリフを暗記する必要はないし、本番も余裕かな……という私の甘い見込みは、車に轢かれたシュークリームみたいに呆気なくペシャンコとなりました。本番1週間前を切った2/14(水)からの3日間にわたる集中稽古は、講師の三浦直之さんと大信ペリカンさん、そして作者であり出演者でもある高校生の皆さんの、激闘の日々でした。



稽古が始まってからは、各講師と高校生が2つのグループ(三浦班・大信班)に分かれ、それぞれ約60分の上演作品をつくりあげていきました。さらに、三浦さんの劇団「ロロ」から板橋駿谷(しゅんや)さん、大信さんの劇団「シア・トリエ」から佐藤隆太さんの2人の役者が、心強い共演者として稽古から参加してくださいました。ちなみに私、菅野蓮華も各班の音響担当を務めました.

三浦班の作品づくりは、会場の大リハーサル室をとにかく広く使い、高低差も利用した動きが印象的でした。台本上なら1行加えるだけで場所や時間を飛び越えることが可能ですが、それを舞台上の動きで伝えるにはどうしたらよいか、三浦さんは頭を悩ませながら慎重に、かつ的確に演出をつけていました。また、会話の中での「間」の取り方や、セリフを言い終わった語尾の余韻を、三浦さんが細かく指導することによって、高校生たちの台本が描こうとしている「登場人物の関係性」が浮かび上がってきました。

一方、大信班は粘り強く台本の書き直しに取り組むことから始まりました。大信さんは、高校生たちが書いた物語の中の「劇的な瞬間」を掬い取り、それが明確に伝わるような台本の書き方をアドバイスしていました。書き直しを繰り返しながら、グループ内で登場人物の心の機微を共有したのち、舞台上に物語を立ち上げるための動線づくりが行われました。大信班は三浦班と比べて、役者が身体を張る演出が多かった気がします。両方の演出を間近で見ていた私には、目的(上演)に向かう過程の違いが新鮮で、とても勉強になりました。



それにしても、三浦班・大信班ともにリーディング公演とは思えないくらい、役者が所狭しと動き回る舞台に発展しました。連日、学校が終わってからの限られた稽古時間の中で、次々と思いもよらない発想を舞台上に具体化していく三浦さんと大信さん。経験に裏打ちされた反射神経と演技力で高校生たちをリードする板橋さんと佐藤さん。そして高校生たちの柔軟な対応、10代の体力と集中力、すべてに感服いたしました。ようやく初めて全体の通し稽古ができたのは、本番初日の開演2時間前! ここまでハラハラドキドキのスケジュール進行でしたが、それはこの本番において少しも妥協がなかったことの証左でもあります。

2/17(土)の初日の幕が開いてからは、2回の本番が終了するまで、あっという間に過ぎていきました。まるで新幹線に乗って降りるように、気が付いたら遠い所まで辿り着いていた感覚でした。本番は私にとっても音響の操作をミスできない状況だったため、いつもより緊張していたのかもしれません。しかしそれでも、舞台に立つ高校生たちの勇姿をはっきりと目に焼き付けました。僭越ながら、上演された作品の感想を、上演順に記しておこうと思います。



三浦班
■今井 楓さん「これからの関係」

男女の三角関係に加えて、謎の転校生登場だなんて、そわそわしてしまう要素が満載な青春の一コマを描いた台本。板橋駿谷さん演じる校長先生の強力なキャラクターが、幕開けにふさわしい勢いのある空気をつくってくれました。

■白土和奏(わかな)さん「マジカルタイムは昼休み」
昼休み中の他愛ないおしゃべりを、愉快に膨らませた会話劇です。現役高校生が演じると、セリフが躍動するように聞こえてきます。「イケメンがみんな良い人とは限んないからね」という金言も飛び出しました。

■西村麻奈さん「アオ」
男子バスケ部を舞台に、負傷してしまった選手をめぐる友情ドラマ。対立から和解へ繋がる登場人物たちの感情の動きが、丁寧に表現されていました。部活の練習風景を織り交ぜたメリハリのある演出も見所でした。



■岩本亜純(あすみ)さん「寺ドラマーリカ」
ドジなところが可愛い人気者、リカを巡る噂話。女子トイレというシチュエーションの中、個室から噂の的になっているリカが出てくるかもしれない緊張感が良かったです。後半はリカが友達と楽器屋にギターを買いに行く物語で、あまり出番のなかった男性陣がなんと楽器役で登場しました。

■猪狩敬仁(としひと)さん「百花繚乱」
放課後、ヒマを持て余した男女3人組が、初々しい恋バナで盛り上がる台本。何気ない会話と仕草から各登場人物のキャラクターが見えてきて、片想い相手と鉢合わせる場面では、それまでの振る舞いとのギャップが楽しかったです。

■鈴木歩月(あつき)さん「ある人を取り囲む日常」
好きな子の家へ遊びに行くというシチュエーションで、わちゃわちゃした四角関係が繰り広げられる会話劇。干支を2周した私には少し気恥ずかしいセリフも、高校生の皆さんがハイテンションで演じることでバッチリ決まりました。



■香西 守さん「噂話は渡り歩く」
タイトルの通り、入部初日以来ずっと現れない野球部員の噂に尾ヒレがついてゆく台本。まるで「世にも奇妙な物語」のようなホラーテイストが隠し味です。会話中ひたすらランニングを続けるという、三浦さんの過酷な演出が笑いを誘いました。

■齋藤永遠(とわ)さん「野球大好き太郎君の話とその噂話」
野球部のエースである太郎が練習中に怪我を負ってしまう物語。三浦さんは台本の重要な場面を冒頭に持ってくることで、作品の印象的をより強めました。役者たちのシリアスな演技もドラマを引き立てていました。

■蛭田真衣さん「バレバレ」
怪我で入院している太郎を気遣う周囲の人たちが巻き起こす、明るいタッチの会話劇。片想いしている女の子の恋心がいかにバレバレかを見せるため、稽古が盛り上がりました。




まずは成果発表の前半部分、三浦班を紹介しました。
次回は後半部分、大信班の発表と、全員出演のラストシーンを紹介します。

■リージョナル・シアター2018 いわきアリオス演劇部
〔期間〕2018年9月29日(土)〜2019年3月10日(日)【全15回】
〔会場〕いわきアリオス内(詳細は参加者に別途お知らせいたします)
〔参加費〕無料(要事前申込)
〔対象〕高校生・高専生および高校通学年齢に相当する方
〔応募方法〕専用の応募用紙にご記入の上、郵送もしくはメールかファクスでお申込みいただくか、窓口へお持ちください。くわしくはアリオスチケットセンンター(0246-22-5800)までお問合せください。

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